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Friday, May 27, 2011

作品のこと


私が今とりかかっている作品「I'm ボカン」は、梶井基次郎の奇作品「檸檬」「愛撫」をモチーフに現代版にアレンジしようとしている。
爆弾にみたてたレモンや、猫耳を切符きりでパチンときってやりたいという欲望。そう梶井さんはかなりの妄想族である。そのポップで大胆でエキセントリックな妄想パワーを持つ梶井ワールドに私は挑もうとしている。

この「檸檬」「愛撫」という作品はどちらも彼の押さえきれない妄想や欲望、自分の身に襲いかかろうとしている死への恐怖や欠落、堕落をただ暗く表現するのではなくユニークかつ自虐的に取り扱った作品である。

今回この2つの物語を合わせ自分自身の自虐行為を意味とする『I'm ボカン』というタイトルを私はつけた。

彼は死の数時間前に「悟った」と言ったそうだ。
自らの死をネタにし不を負で表現するのではなくプラスで表現し周囲に見せる事で、彼は残りの人生を精一杯生き抜く希望と、持ち前の妄想パワーを発揮させる喜び、物語を書くという喜びを感じていたのではないだろうか・・・。
そしてきっと死ぬ間際にその方法が正しかった、満足だったと確信し「悟った」と言ったのではないだろうか。

彼が死を覚悟しそのリングに立ったように、私もリングに立ちたいと思う。

今日は作品についてモヤモヤしていた部分がスカッと抜けたような気がした。近頃の自分のダンスに対する向き合い方やダンスに求める趣向と、この作品で私が言おうとしていることが繋がった気がした。

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